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生きている「NANI NANI」
太古の世界から抜け出たモンスターの、その瞬間の動きを連想させるスピード感溢れるフォルム。天を目指す柔らかな曲線がそのまま優美な曲面 へと発展し、連なり、うねり、立体となり、あたかもひとつの生命体をなしていくかのような不思議な存在感。きわめて優しく親密な情感を見る者の肌へと訴えてくる有機的なシルエット。
その建物の名は、「NANI NANI」。クール、機能優先、スクエア、無機的というこれまでのオフィスビルの概念から明らかに一線を画す、これはヌーヴェルアーシテクチュアールともいうべき世界初のビジネス有機体。国際都市東京に対するスタルクからの提案です。フランス人アーティスト、フリップ・スタルクのデザインによる、この「NANI NANI」。単なるデザインのためのデザインではない、本格的な居住性、細部にわたる空間アイディア、付帯設備の心憎いまでのレイアウト、採光、さらに周辺への日照の影響計算などあらゆる面 で高水準のレヴェルに達した、基本的要素の高さ。トレンドを超越し建物として機能性のすべてを完璧に満たしつつ、なおその建物が独自の主張一普遍的なアイデンティティを持ちうる、というこのテーマこそが常にめざしてきたものにほかなりません。
それを見る人を、使う人を、そしてとりまく環境のすべてを、柔らかく包みながら生き物のように優しく存在をアピールしていく、「NANI NANI」。
建物の進化は、こうしてはじまります。 |
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エピソード
これからの開発がもっとも期待される東京・白金という地区に、ぜひスタルク・デザインによるオフィスビルをやりたいという依頼がきた。それに対してスタルクは、すぐさま彼の頭の中の想像力からでてきたマンガ的な怪獣のようなビルを考えた。スタルクによれば、それはフロリダのどろ沼から浮き出てきたグリーンの怪獣。
彼はさっそくこのアイディアを絵にして回りにいた人たちに披露した。しかし、そこにいた誰一人としてそれが一体なんであるかを理解できなかった。ただ一同に「ケス クセ?」「ケス クセ?」を繰り返すばかり。ケスクセとはフランス語でナニという意味。日本語の「ナニ」という言葉を知っていたスタルクは、このビルをナニナニという名前にすることに決めた。
外装の銅板の特長からこのビルは、これからの時の流れによって変化が生まれることから、「ナニナニ」は世界で初めての「バイオモルフィックなビル」となることであろう。バイオモルフィックとは古代ギリシャ語で「生きている形」。 |
このモンストラスな物体にもやはり骨と肉と皮がある。中央(エレベータシャフト)の橋脚ともいえるほどの支柱から生えている手のひらのような梁がキャンチの床を支えその反対から支柱を引っ張るフレームがある、階段室にあたる部分がこの役目をしている。このように細部の骨組にいたるまでこの橋脚を軸にしてバランスしているといえる。この骨組みの回りに筋の役割をもつトラスウォールをからめたセメントの肉が全体の体形を形成している。内部の壁の仕上もモンタルである、この2重のモンタルの壁が断熱層になる。となれば時間とともに時間とともに変化する銅板が皮ということになる。多少シワがあるほうがいいということだった。銅板の皮が裂けて捲かれた部分が給排気のあなである。と置き換えていく楽しさがあったが六合さんの理解と技術も見逃せない。文字どおりスタルクの1分の1の建築はこの物体から始まった。 |
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